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『大恐竜展 ゴビ砂漠の驚異』 内覧会へ。 [恐竜・古生物]

明日20131026日から国立科学博物館にて『大恐竜展 ゴビ砂漠の驚異』が開催されます。その前日にあたる今日、プレス・内覧会が行われたので出席して参りました。

まず普段あまり目にする機会のない、開会式の様子を。国立科学博物館の館長である林良博氏や、文部科学大臣政務官など数名のご挨拶のあと、テープカット。

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一番左は、主催の1つであるモンゴル科学アカデミー古生物学センター所長のリンチェン・バースボルト氏。個人的な感想ですが、名前負けしていない、素敵な顔立ちをした老賢者のような印象を受けました。会期中ご講演をなさることがあるなら、是非とも参加してみたいものです。

 

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 さて、では本題である恐竜展の紹介……の前に、みなさんは昨年11月から今年6月に大阪市立自然史博物館にて開催されていた『発掘! モンゴル化石恐竜展』に足を運ばれただろうか? この度の恐竜展は、大阪自然史博物館で行われたものの大型巡回展といえます。

 しかし展示してあるものがなにもかも同じというわけではない。新しく追加されたもの、(運搬中に破損してしまい)展示されなくなったもの、骨格の組み方が変わったもの、いろいろな変化があります。

 大阪の特別展を見た方は比較で楽しめますし、そうでない多数派の方はまっさらな気持ちで化石を味わうことができます。

 

 まず比較としての目玉として、ディノケイルスを候補にあげたい。

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ディノケイルスは大きな腕だけ発見されている恐竜で、全貌は未だに謎に包まれたままである。それゆえに、今までは両腕を宙ぶらりんに脱力して展示されていることが多かった。

 しかし今回の展示は、大阪のときともちがい、他のオルニトミモサウルス類(ガリミムス、オルニトミムスなど)と似た前肢のポーズで組まれている。

 

 全身の姿がイメージしにくいほど大きな腕。本当にこのような腕の付き方をしていのかどうかは、腕以外の部分がみつかれば正しさも誤りも見直す機会が増えるのだが……もう40年以上も他の部位は見つかっていない。

 ディノケイルスについて興味をもった方は、webマガジン幻冬舎にある『小林快次 未知の恐竜を求めて』のページをお読みになってから恐竜展へ行かれると、感慨深くみられる。肩胛骨と烏口骨の癒合のあたりは、是非とも自分の目でご覧になって欲しい。

 

  ディノケイルスお隣、テリジノサウルス。今までテリジノサウルスといえば指から爪だけが展示してあることが多かったが、今回は上腕骨より上も組まれている。

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 テリジノサウルスも腕だけとはいえ、大物に入るだろう。
 テリジノサウルスも発見されていない部分が多く、近縁種からの推測に頼る面も多い。むしろ
全身骨格標本の多くは、説を支柱にして組みたてていることが多い。

 ディノケイルス、テリジノサウルスの横には、頭と首のない竜脚類が待ち構えている。公式HPでシルエット表示されている、オピストコエリカウディアである。

 

  「さて、頭はどこにくっつくでしょう?」 

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もちろん右の先……ではなく、写真の左外側にあたる。
癖がある尾をしているとはいえ、右側はあくまで下半身であり、尻尾である。
ポーズを考えるためにレプリカが作られたが、展示されているのはあくまで実骨。
だが、頭や首は展示されていない。見つかっていないのだ。
しかしこの標本の骨組みには、首から上をつけることが可能な余地(骨組み)がある。 

真鍋真先生は、「いつか発見してくれた人のために」とおっしゃっていた。
今でこそほぼ全身が見つかっている恐竜たちにおいて、 一度に全部が全部みつかったわけではない。ティラノサウルスやトリケラトプスだって、時間をかけて全身がわかってきたのだから。
いつの日か、ディノケイルスやオピストコエリカウディアも全身が復元されて、再び上野に戻ってくる日がきて欲しいものだ。

 

 さてさて、展示も大物が続いていた。
 恐竜展に限ったことではないが展覧会というのは大物を看板に持ってくることが多い。

 そういった面で、今回の目玉はタルボサウルス。書籍などで「アジア版のティラノサウルス」というような紹介を受けることもある彼であるが……様々な年齢のタルボサウルスが発見されたことにより、その研究成果はティラノサウルスにも当てはめることができるかもしれない、ということが言えます。アジア版のティラノサウルスにより、本家ティラノサウルスの理解が深まるかもしれないということだ。

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 サウロロフスの横に、タルボサウルスの全身骨格。
 そして壁の裏側にはお座りタルボの全身骨格もやってきている。

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 2種類の大きなタルボサウルスの骨格があるというのにも関わらず、図録の表紙にもなっているのは亜成体タルボサウルスの頭骨。

 

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生への名残すら感じられる、あまりにも綺麗な頭骨。その場で隣にいた見ず知らずの方と「すごい」「すごい」と言う感嘆の言葉だけで会話をしてしまうほどに。

 

前々から話には聞いていたが、小~中サイズは保存状態のよい実骨の展示が多い。実に9割が実骨の展示というのだから、中型の恐竜ですら重量感のある標本が多い(レプリカは実骨よりも軽く作れているので組み立てなどもしやすい)。

大阪でも展示されていたが、小型では15匹のプロトケラトプスの化石は、死んでも死ぬほど可愛い。

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さて、次回以降は小物などもいろいろと紹介をしたい。

 

2度目の記事を書く前に、もう一度『大恐竜展 ゴビ砂漠の驚異』 へ行くつもりであり、11月上旬になるだろう。
  ファミリーで訪れる方などは、11月4日(祝)までに行くことをオススメする。

■ 特別一般公開『V×Rダイナソー』ミニ企画展 

が、同時開催されているからだ。どちらかといえばエンターテイメントよりのミニ企画展かもしれないが。中央モニターで流れていたトリケラトプスとティラノサウルスの全身骨格が歩行する姿は見入ってしまうほど練り込まれていた。特にトリケラトプスの前足。手のひらはもちろん、橈骨や尺骨の動きにも注目してもらいたい。


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