『生命大躍進』、プレス内覧会 [恐竜・古生物]
上野の国立科学博物館にて本日2015年7月7日から特別展『生命大躍進 脊椎動物のたどった道』が開幕した。
初日前日にプレス・内覧会が開かれ、私は一足先に拝覧へ。
展覧会の副題は「脊椎動物のたどった道」である。
展示は特定の生物群や時代を中心にしたものではなく、脊椎動物たちの進化順に観ていくもの。
しかし会場に入ってすぐ多くの人が思ったことであろう、「カンブリアすっご!」と。
カンブリア紀というと、おもにバージェス頁岩と澄江(チェンジャン)の動物群である。有名なアノマロカリスなどが生息していた地質時代である。脊椎動物は誕生前であるが、ピカイアなど脊椎動物へ近づきつつある生物がうまれた。
しかし多くは脊椎動物とは関係のない生き物ばかり。「脊椎動物のたどった道」だが、脊椎動物でないカンブリア生物の展示も非常に充実している。開幕から楽しくなる展開だ。
入口付近であり小物が多いため、非常に混雑が予測されるスポットであるが、現代の感覚では奇天烈にみえる生物たちを1匹1匹見比べてみて欲しい。
・アノマロカリス / Anomalocaris canadensis
・ウィワクシア / Wiwaxia corrugat
私はというと、カンブリア生物ではオパビニアが好きである。メールアドレスに使用するほど好きなのである。事前に決めていたわけでもないのに、会場に入って早々オパビニア捜索をしていた。
ボディはややアノマロカリスに似ていて、かぎ爪の付いた長いノズル構造の触手(風のもの)、極めつけに5つ目という生物である。
特徴が多いだけにカンブリア内知名度の高いが、発見数は少ない。レプリカ標本は安価でよくみかけるが、実物を観たことはなかった。
「展示していない可能性がある」ことを考慮しつつも、期待に胸を膨らませ順路を進むと、バージェス頁岩の中間地点ほど、いたのである。
さて……、こちらがオパビニアの実物化石である。
・ オパビニア / Opabinia regalis
改めて写真を見直して思う。写真だと、実物とレプリカによる感動の違いは大差ない。
その上、いつも観ているレプリカとは違う標本。細長いノズルはわかりにくいが、瞳はハッキリしている。
内覧会で実物をゆっくり観覧できてよかった……。また観に行こう。
さて、次の時代へ移ろう。カンブリア紀以後に生まれたウミサソリについて。
陸上のサソリの祖先にあたるのか、カブトガニに近い生物なのか、諸説はあれどウミサソリというグループがオルドビス紀に生まれ、シルル紀に最盛期をむかえた。
うみさそり、ウミサソリ、海蠍、文字だけで想像をかきたてる生物であるが、想像以上に大きい種もいる。
・アクチラムス / Acutiramus macrophthalmus
驚くことに、実物である。
普通のサソリというと手のひらに乗るようなものばかりだが、アクチラムスは2.2メートル。一般的なベッドの縦が約2メートルなので、そのサイズのサソリかと考えると怪物っぷりがイメージできるであろう。水中だからこその巨大化とはいえ、節足動物最大級である。
化石標本の隣に、ウミサソリが板皮魚ダンクルオステウスに襲われている模型がある。ダンクルオステウスが巨大なのでアクチラムスが霞んでしまいそうだが、是非ともアクチラムスだけみてサイズを体感して欲しい。
脊椎動物以外のことばかり書いてしまっていた。
脊椎動物に戻ろう。
センターサークル近くには、哺乳類も属している単弓類の展示が多い。
常設展に全身が展示してあったディメトロドン。
盤竜類のイノストランケビアやコティロリンクス。関東では佐野市葛生化石館でないとお目にかかれない2体であったので、上野で再会できて嬉しい。
・ディメトロドン頭骨/ Dimetrodon
・イノストランケビア / Inostrancevia
・コティロリンクス / Cotylorhynchus
・コティロリンクス頭骨(レプリカだが日本に1つしかない) / Cotylorhynchus
私としては予想外であったが、恐竜の全身骨格も展示されていた。
全身骨格で4点は、普段の科博で見られないものが揃っている。恐竜や哺乳類に関しては別途機会を設けたいくらいである。
・ドロマエオサウルス / Dromaeosaurus albertensis
・カスモサウルス / Chasmosaurus belli
人類の祖先と大々的に発表されたものの、現在では概ね否定されているキツネザルに近いアダピス類の〝イーダ〟ことダーウィニウス・マシラエ。
古生物に関するニュースでは非常に大規模な発表の出来事であり、目の前に実物が展示されているのは不思議な気持ちにもなった。
・ダーウィニウス・マシラエ / Darwinius masillae
プレス・内覧会のあとは、立食パーティー型のレセプションに参加。
図録も頂き、実に美味しい取材であった。
こちらでは初めまして。「倶楽部の問題児」こと猛勉之瑛(ガリベンのあき)です。博物フェスの幹事、お疲れ様でございます。
モンゴル恐竜展に勝るとも劣らぬ中身の濃い展示とお見受けしました。おいらも試験はよ終わらしてソッコー見に行かなんな!!イノストランケビアやコティロリンクスを日本でお目にかかれる日がまさか来ようとは!!ダンクルのしっぽはできればホオジロザメ型のものがよかったが…いや、野暮は言うまい。
余談ながら展示中のカスモとアラシャは(巡回展メンバーを務めさせてもらっている)御船の看板娘たちです。どうぞまたおいでの際はじっくりご覧ください。
by 猛勉之瑛 (2015-07-09 02:41)