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大恐竜展in丸の内2013 ~福井県恐竜博物館コレクション~ [恐竜・古生物]

『大恐竜展in丸の内2013 ~福井県恐竜博物館コレクション~』へ、
恐竜倶楽部創立
25周年記念式典の翌日に行って参りました。

開催期間が2013818日(日)までと、終了が間近に迫っているため、(さっき書き終わったばかりの)恐竜倶楽部25周年記念の内容よりも、こちらを先に公開いたします。

 

「フクイラプトルが目の前に蘇る」と書かれたポスターを東京駅前でいくつも目にしながら、私は丸ビルへ。待ち合わせの10分前に到着したのですが、すでに約束していたお二方は到着しておりました。昨日(810)ご講演いただいた徳川広和先生と、恐竜学を志す大学生さん。

 

さて、今回の展示は2つの会場にわかれております。丸ビルには肉食恐竜が5体展示。
私たちにとっての一番の目的であり目玉は、バリオニクスの全身骨格です。

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バリオニクスと聞いても「?」と思う方も多いでしょう。
実は会場にて、到着されたばかりであろう小さなお子さんが
「この恐竜スピノサウルスだよ!」
と大きな声で言っているのが聞こえました。
おしい、実におしいです。
スピノサウルスというのは、ジュラシックパーク3でティラノサウルスを倒した恐竜です。
ティラノサウルスを上回る17メートルにも及ぶ全長と、背中の大きな帆(神経棘)が特徴的ですが……バリオニクスは(スピノサウルと比較すると)どちらも控えめです。

バイオニクスはスピノサウルス科であり、全長は9メートル弱。スピノサウルスの半分くらいです。
だからこそ、「スピノサウルスだよ!」といった小さなお子さんを褒めたい。
彼はバリオニクスという恐竜を知らなかったのだと思います。そしてスピノサウルスの全身骨格も見たことないのかもしれない。しかし自分が図鑑などで得てきた知識から、最も近い恐竜はスピノサウルスだと導きだしたのでしょう。

言い換えれば、体の大きさや帆ではないところにおいても、スピノサウルス科というものを認識できる眼を持っていた、ということになります。おそらく小学生低学年くらいであろう彼は、頭骨を見せただけでもスピノサウルス科と判断するくらいの力が備わっているのだと思います。知識だけでなく、眼力というのは、研究者において大切なことです。見ず知らずの彼ですが、実に将来が楽しみですね。

 

さて、このバリオニクス。
1983年にイングランド(イギリス)で発見され、後に、ほぼ全身骨格も見つかりました。
ただ今年に入るまで、組み立てられた全身骨格をお目にすることはできませんでした。

関東においては、バリオニクスの展示は今回の丸の内が初公開。
新しく組まれた骨格だけあって、実に美しい。
大腿骨(太もも)が少し外に開き、脛骨(すね)再び内側に閉じる。
過去に組まれた恐竜は棒立ちしているものも多いのですが、今も生きている動物をイメージするとわかりますが、手足をピンと伸ばして活動する動物は少ないです。 

尻尾は上反りではなく、もちろん地面についているわけでもなく、末端にかけてゆるやかに垂れています。中型・大型の獣脚類(主に肉食恐竜)の新しい復元では、このような尻尾が増えてまいりました。
隣にいるゴルゴサウルスと比較してみると、新旧を比較してみると面白いかと。

 

ポスターで見かけた「フクイラプトルが目の前に蘇る」ですが、フクイサウルスの全身骨格がやってきているわけではありません。ヘッドマウントディスプレイを装着して、あたかも目の前にフクイラプトルがいるかのように楽しめる体験コーナーがあります。

私はそのことを知らず、
「フクイラプトルどこにいるんだ」と会場を探し回ってしまいました。
フクイラプトルは新たな説により全身骨格を組み直す可能性もあるので、いつか旧スタイルとされるかもしれない今のフクイラプトルを目に焼き付けておこうと思っておりました。

 

肉食恐竜たちが見られる丸ビルのマルキューブ広場にはカフェがあります。
ええ、心ゆくまで優雅に恐竜カフェを楽しんでまいりましたよ。
テーブル席に3人横並びになって恐竜を眺めるという、違和感丸出しの客でした。

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続いて、丸ビルから歩いて数分のところにあるオアゾでは植物食恐竜コーナー。
こちらはピカソの『ゲルニカ』の前に展示されているチンタオサウルスや、子供のアパトサウルスが見所。

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 チンタオサウルスといえば、頭骨の骨突起が特徴的であり、懐疑的な恐竜です。
「本当にこんな頭の突起をしているのか?」
「化石になる過程でなにかしらあったのではないか」
という意見もありましたが、2つ目となる頭骨も発見され同じ形をしておりました。
チンタオサウルスには今後も誇らしく顔を上げて生きていってもらいたいですね。

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続いて、子供のアパトサウルス。愛称はコニー、だったかな。
竜脚類ディプロドクス科のアパトサウルス。以前はブロントサウルスなんて呼ばれていた恐竜です。

こちらの全身骨格はワイオミング州のモリソン層で発見されたものから復元したもの。
4年ほど前にアメリカ某所にて13500ドル(当時の為替で135万円程度)で取引されていた記憶があります。その時のものか、レプリカのレプリカなのか、新しくつくられたものなのかまではわかりません。福井県立恐竜博物館では2010年後半に展示されていましたが、関東初上陸。私は実物を見るのは初めてでした。

 「どんな動物だって小さいころは愛らしい」
なんて言いますが、それは骨だけの恐竜にも当てはまること。
小さな顔、細身かつ長い首と尾、楕円形の丸い体、どれもこれもコロコロしていてかわいい。
後ろ脚を揃えて前方にピンと伸ばし、恐竜に詳しい人たちの間ですら、どういった場面のポージングか謎ですが、「かわいいならそれでいい」と許せるほどの魅力。頭を撫でたくなるほど心を惹かれましたが、展示物には手を触れてはいけません。

 

さて、『大恐竜展in丸の内2013 ~福井県恐竜博物館コレクション~』は2会場あわせて9匹の恐竜が展示されております。
そのなかで、私が気になった3匹を中心に説明いたしました。
閉会までは間もないですが、入場料などはかかりませんので関東在住のかたは足をお運びになっていただけると、楽しい時間がすごせるに違いありません。

お盆シーズンとはいえあと数日、都合が合わずに行けないというかたもご安心ください。
福井県立恐竜博物館へ行けばいいのです。

  

 
  ~ご参考までに~

福井県立恐竜博物館は、名古屋を含めた中部、大阪・京都を含めた関西と比べて、交通の便などの影響もあり関東からの来館者の割合が少なめです。バスやマイカー、または飛行機という選択肢になり、鉄道で行くことは北陸新幹線が開通するまで困難です。

しかし昨年夏にパシフィコ横浜で開催された『ヨコハマ恐竜展2012 ~福井県恐竜博物館コレクション~』は、動員・収益としても成功といえるでしょう。フクイサウルスも新しいポーズをしていて、私も心が躍ったものです。
驚いたことに館長の竹内利寿さんまで、スタッフに混じって汗をかきながら、応対しておりました。だからこそ、普段はお話をする機会の少ない館長さんと、気軽にお話できたのも良い思い出です。福井恐竜博物館の魅力が、じわりじわりと関東にも浸透しているように実感しております。

今後、福井県立恐竜博物館が盛り上がることを、いち恐竜ファンとして応援しております。


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