おもいがけないTV出演、アウトデラックス [エッセイ・雑記]
フジテレビにて木曜日23:00から放送している『アウトデラックス』に、
恐竜倶楽部のメンバーであり友人である尾形比呂哉さんが出演することになり、
見学・付き添い・荷物持ちにいったのがちょっとだけ前のこと。
TV業界のことは詳しくなく、細かいことを書くと何かに差し支えるかもしれなく心配であり、もろもろの流れや収録風景のことは省こう。
ただ、畳の楽屋にて頂いた牛すじブラックハヤシライス(ケータリング)はとても美味しかった。
それだけで行って良かったと、収録見学前に思うほどであった。
さて、尾形さんが出演した模様が先日7月23日に放送された。
番組の後半が尾形さんの出番であり……最後の最後に「このあと恐竜倶楽部会員がもう1人……」として、私もほんのちょっぴり登場した。
ご覧になった方は分かると思うが、スタッフの「はいオッケーです」の声のあとに姿を現したので、本来の予定にはない僥倖であった。
テレビ、しかもキー局で自分の姿をみるという経験は滅多にないものであり、恥ずかしいながらも温かいものである。
放送中に話題にでた『恐竜倶楽部』 であるが、恐竜好きをいつでも募集している。
NPOでも営利団体でもない、しがらみのない〝倶楽部〟なので質問があれば気軽に問い合わせてくれていい。
在庫は少なくなりつつあるが、加入すると番組中にも登場した『恐竜倶楽部 創立25周年記念』の品である手ぬぐいがもらえる。
最後になるが、
「本物の尾形さんに会いたい!」
という方は、幕張メッセにて開催中の『メガ恐竜展』 へ足を運んでみるといい。
尾形比呂哉さんが恐竜博士として活躍中である。
ちなみに私も恐竜骨格の組立などに、少々携わっている。
ダイノワールド2015、初日訪問 [恐竜・古生物]
メガ恐竜展が竜脚類などの巨大脊椎動物が多いなら、ダイノワールド2015は獣脚類がメインといえる。
特にアロサウルスは復元・産状・ロボットをあわせて何体いたのかわからない。
趣旨が違うとは言え、昨年のヨコハマ恐竜展2014の倍以上の全身骨格はあるだろう。
まず入ってすぐには、タニコラグレウス(左下)VSケラトサウルス(右上)の懐かしい闘争化石。『世界の巨大恐竜博2006』で観て以来なので9年ぶり。あのときより、2匹の距離が近い。
・タニコラグレウス(Tanycolagreus)
・ケラトサウルス(Ceratosaurus)
続いて、アロサウルスの産状化石をアロサウルスが見つめるというもの。
普通は頭の向きを同じにして並べるのですが、あえて今回のような展示にするような趣向、私は好きである。
・アロサウルス(Allosaurus)
その後、一部に値札がついたままの三葉虫やアンモナイトを経て、
新種と思われているモササウルスの全身骨格。
・モササウルス(Mosasaurus)
このモササウルスに限ったことではないのだけれど、どの部位が発見され、どこを実骨展示しているのかが不明瞭なものが多い。だからこそ、目をこらして探す楽しみもある。そうしてもらうかのように、キャプションに望遠レンズが設置してあるものもあるくらいである。
・ガルゴイレオサウルスの頭骨(Gargoyleosaurus)
・マジュンガサウルス(Majungasaurus)
レアものであるガルゴイレオサウルスの頭骨などをはさみ、今回の2枚看板の1つである。1998年にサウスダコタ州北西部にて発見されたティラノサウルス・レックスの亜成体、通称〝ティンカー〟である。図録が販売されていないので実骨部位などの情報がないけれど、現地では360度観察することができる。メインの恐竜をグルっと一周できるようにしてあるのは意外と少なく、実に嬉しいつくりである。
・ティラノサウルスのティンカー (Tyrannosaurus "Tinker" )
標本展示スペースとしては最後になる、トルボサウルスがいるゾーン。
他にもティプロドクスとして最初に発見された種であるロングス種、アロサウルス・フラギリス、ケラトサウルス、カンプトサウルス、大小様々な標本があり、見所も多い。
・トルボサウルス(Torvosaurus)
・ディプロドクス・ロングス(Diplodocus longus)
・カンプトサウルス(Camptosaurus)
・アロサウルスの大腿骨(Allosaurus)
設営などの準備が追いついていないのか図録や音声ガイドはないものの、
統一感よりも様々な恐竜を詰め込むことが重視された恐竜展であった。その上、大胆にも実骨を飾っている展示も多いようなので、驚いてしまう。
キャプションや解説が少ないのは残念であれ、その反面で局地的に人がたまって渋滞になることもなく、全体として見やすい恐竜展であった。
冒頭にも書いたがティラノやアロなどの獣脚類が多めであり、獣脚類が好きな方も多いだろう。私もそうだ。
そもそも、そもそもだ。
こんなことを言っては申し訳ないが、諸々な目や耳にする事情から今年のヨコハマ恐竜博には期待していなかった。だが、展示点数やレア度からしても、初日に訪問してよかったと実に満足している。
メガ恐竜展2015、はじまる。 [恐竜・古生物]
2015年7月18日(土)から幕張メッセで『メガ恐竜展 ―巨大化の謎にせまる』が開催され、前日である17日には内覧会・プレスが行われた。
メガ恐竜展という言葉からイメージされる通り、巨大の代名詞である竜脚類が多い。
有名どころであるディプロドクスやアマルガサウルスの全身骨格、
日本産であるタンバティタニスやフクイティタンの実骨、
日本初公開であるトゥリアサウルスやエウロパサウルスなどなど。
トゥリアサウルスは上半身だけの復元であるが、全身等身大イラストが飾られている。
そして、その近くにエウロパサウルス。
このエウロパサウルスというのは小さくなるほうの島嶼化(とうしょうか)として名高い。
島嶼化を簡単に説明すると、「島などの孤立した環境では巨大化・矮化する種があらわれる」というものだ。
巨大化があるなら、矮化もある。ここも抑えているのが、「メガ恐竜展」の素晴らしいところである。
また竜脚類だけでなく、ゾウ科のメガ種コウガゾウ(Stegodon huanghoensis)とミニ種ファルコナーゾウも展示され哺乳類の島嶼化も比較できる。ファルコナーゾウに関して膝下くらいのゾウなので、一瞬見落としそうである。
メガサイズというわけではないが日本初公開として、記載当時の2年ほど前にネット上で話題になったライスロナクスも目玉の一つであろう。
話題を呼んだのはやはり「流血王」と和訳され広まった学名によるところが大きいであろうが、ティラノサウルス類としては程ほどの大きさである。タルボやユティランヌスといった大型か、ラプトレックスやグランロンといった小型のティラノサウルス科が注目を集めやすいだけに、実骨も多く見つかっているライスロナクスの中間派としてのスタイルも意外と珍しいかもしれない。
さて、個人的に感動したのがトバリュウの実骨である。
ここからは思い出話になるが……
トバリュウというのは1996年に三重県の鳥羽市で発見された竜脚類である。属種などは判明していないが、ティタノサウルス類であるとされている。
しかし、以前はマメンチサウルス類とされていた。そう、私が子供の頃は。
当時の私は愛知県に住んでおり、隣の三重県で恐竜展化石が発見されたというのは、子供ながらに大衝撃であった。トバリュウの一般向け発表があったとき、父親に頼んで(詳しい場所は忘れてしまったが)三重県まで自動車に乗せていってもらった記憶がある。そのとき、トバリュウの実骨を初めてみた。
それから、実に20年ちかい月日を経ての再会である。
長く恐竜を愛でているからこその感慨深いものであった。
メガ恐竜展、8月30日の会期終了までにあと2回ほど行く予定である。
恐竜博士である尾形比呂哉さんの解説も、是非ゆっくり聞きたい。
『生命大躍進』、プレス内覧会 [恐竜・古生物]
上野の国立科学博物館にて本日2015年7月7日から特別展『生命大躍進 脊椎動物のたどった道』が開幕した。
初日前日にプレス・内覧会が開かれ、私は一足先に拝覧へ。
展覧会の副題は「脊椎動物のたどった道」である。
展示は特定の生物群や時代を中心にしたものではなく、脊椎動物たちの進化順に観ていくもの。
しかし会場に入ってすぐ多くの人が思ったことであろう、「カンブリアすっご!」と。
カンブリア紀というと、おもにバージェス頁岩と澄江(チェンジャン)の動物群である。有名なアノマロカリスなどが生息していた地質時代である。脊椎動物は誕生前であるが、ピカイアなど脊椎動物へ近づきつつある生物がうまれた。
しかし多くは脊椎動物とは関係のない生き物ばかり。「脊椎動物のたどった道」だが、脊椎動物でないカンブリア生物の展示も非常に充実している。開幕から楽しくなる展開だ。
入口付近であり小物が多いため、非常に混雑が予測されるスポットであるが、現代の感覚では奇天烈にみえる生物たちを1匹1匹見比べてみて欲しい。
・アノマロカリス / Anomalocaris canadensis
・ウィワクシア / Wiwaxia corrugat
私はというと、カンブリア生物ではオパビニアが好きである。メールアドレスに使用するほど好きなのである。事前に決めていたわけでもないのに、会場に入って早々オパビニア捜索をしていた。
ボディはややアノマロカリスに似ていて、かぎ爪の付いた長いノズル構造の触手(風のもの)、極めつけに5つ目という生物である。
特徴が多いだけにカンブリア内知名度の高いが、発見数は少ない。レプリカ標本は安価でよくみかけるが、実物を観たことはなかった。
「展示していない可能性がある」ことを考慮しつつも、期待に胸を膨らませ順路を進むと、バージェス頁岩の中間地点ほど、いたのである。
さて……、こちらがオパビニアの実物化石である。
・ オパビニア / Opabinia regalis
改めて写真を見直して思う。写真だと、実物とレプリカによる感動の違いは大差ない。
その上、いつも観ているレプリカとは違う標本。細長いノズルはわかりにくいが、瞳はハッキリしている。
内覧会で実物をゆっくり観覧できてよかった……。また観に行こう。
さて、次の時代へ移ろう。カンブリア紀以後に生まれたウミサソリについて。
陸上のサソリの祖先にあたるのか、カブトガニに近い生物なのか、諸説はあれどウミサソリというグループがオルドビス紀に生まれ、シルル紀に最盛期をむかえた。
うみさそり、ウミサソリ、海蠍、文字だけで想像をかきたてる生物であるが、想像以上に大きい種もいる。
・アクチラムス / Acutiramus macrophthalmus
驚くことに、実物である。
普通のサソリというと手のひらに乗るようなものばかりだが、アクチラムスは2.2メートル。一般的なベッドの縦が約2メートルなので、そのサイズのサソリかと考えると怪物っぷりがイメージできるであろう。水中だからこその巨大化とはいえ、節足動物最大級である。
化石標本の隣に、ウミサソリが板皮魚ダンクルオステウスに襲われている模型がある。ダンクルオステウスが巨大なのでアクチラムスが霞んでしまいそうだが、是非ともアクチラムスだけみてサイズを体感して欲しい。
脊椎動物以外のことばかり書いてしまっていた。
脊椎動物に戻ろう。
センターサークル近くには、哺乳類も属している単弓類の展示が多い。
常設展に全身が展示してあったディメトロドン。
盤竜類のイノストランケビアやコティロリンクス。関東では佐野市葛生化石館でないとお目にかかれない2体であったので、上野で再会できて嬉しい。
・ディメトロドン頭骨/ Dimetrodon
・イノストランケビア / Inostrancevia
・コティロリンクス / Cotylorhynchus
・コティロリンクス頭骨(レプリカだが日本に1つしかない) / Cotylorhynchus
私としては予想外であったが、恐竜の全身骨格も展示されていた。
全身骨格で4点は、普段の科博で見られないものが揃っている。恐竜や哺乳類に関しては別途機会を設けたいくらいである。
・ドロマエオサウルス / Dromaeosaurus albertensis
・カスモサウルス / Chasmosaurus belli
人類の祖先と大々的に発表されたものの、現在では概ね否定されているキツネザルに近いアダピス類の〝イーダ〟ことダーウィニウス・マシラエ。
古生物に関するニュースでは非常に大規模な発表の出来事であり、目の前に実物が展示されているのは不思議な気持ちにもなった。
・ダーウィニウス・マシラエ / Darwinius masillae
プレス・内覧会のあとは、立食パーティー型のレセプションに参加。
図録も頂き、実に美味しい取材であった。