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掛川花鳥園 ~その2~ [動物園・水族館]

前回に続き、静岡県にある『掛川花鳥園』について。
 
 
・(いきなり)おまけ

動物園などでは新しい仲間がきたとき、すぐに展示や合流はせず、徐々に環境に慣れさせていく。
こちらはギニアエボシドリが新しくやってきて、
「仲良くなるための練習中です。やさしく見守ってね♪」
とのことですが……
 
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大丈夫なのかな? 心配になってしまいました。



そしてこちらはリビングストーンエボシドリ。
 
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似てますね、とても似てますね。
写真ではわかりにくいですが、後頭部の白ラインの有無や背中の色などが違います。


 
 

さて、続きに戻ります。
 
掛川花鳥園は1日に3回バードショーがある。
私が到着したのは、1回目のショーが終わったあと。
2回目と3回目を見ることになるのだが、この日のヘビクイワシの出番は1回のみ。

私はハラハラしながら「出番あるかな?」と思いながら、2回目のショーが始まった。
1回のショーにつき、登場する鳥は3種類というのが多いらしい。

まずはハリスホーク。
モモアカノスリというのが和名として正式であるが、英名『Harris's Hawk』をカタカナ読みする名のほうが、一般的に知られている。
とはいえ日本には生息していないので、どちらの名前も耳馴染みない方が多いだろう。
ホーク、というだけありタカの一種である。
ある球団のマスコットであるハリーホークとの関係性は不明。

さて、ホークはタカ(鷹)であり、イーグルはワシ(鷲)である。
大きさからすると、イーグル>ホーク>ファルコン という関係性。
けれどタカとワシというのは、イルカとクジラのように大きさにより呼び方が別れただけであり、生物学的な分類として使われているわけではない。
ハリスホークも含めて、オオタカ・オオワシ・イヌワシ・トビ(トンビ)・サシバなどは、タカ目タカ科に分類される生物だ。
ファルコンはハヤブサ(隼)にあたり、タカ目ハヤブサ科。
とはいえ○○ハヤブサという和名についている鳥でも、タカ科に分類されるものもいる。
あくまでワシもタカもハヤブサも、詳しい分類が明確化される前に勝手に呼び名がついたものだ。
日本には生息していないが、コンドルというのはタカ目コンドル科に分類される。
タカ目の多くはタカ科であるが、ハヤブサ科もコンドル科も複数属(種)いる。

だが、ただ一つだけタカ目において1種類しか存在しないグループが存在する。
それが、ヘビクイワシ科だ。
 
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今後どこかで『ヘビクイワシ / タカ目 ヘビクイワシ科』というのを見かけたとしても、
「ワシってついてるのに、ワシじゃなくてタカっての仲間なの?」
という疑問を抱かずにいただけると思う。

さて、いささかお堅い説明が続いてしまったが、やっとヘビクイワシの登場だ。
ショーの2匹目はベンガルワシミミズクであり、3匹目は念願のヘビクイワシだったのだ。
(あとから気がついたのだが、屋外スペースの出入口付近に当日のショー予定の鳥たちが紹介されていた)
ヘビクイワシ科にはヘビクイワシしかいないだけあり、似たような鳥がいない。
私は上野動物園でヘビクイワシを眺めているとき、周囲に通りがかる他のお客さんがたの声からすると、
「脚なが!」
「体と脚のバランスおかしくない?」
「タイツはいてるみたい」
と、主に脚部に注目がいくようだ。
美形さんではあるのだが、それ以上に美脚であるのは確かである。

ヘビクイワシ、というだけありヘビを食べる。
美脚を使い、ヘビを蹴って捕獲する。
他の鳥々との交流で既に満たされていたものの、そういえばヘビクイワシがキックするショーが見たいがために掛川花鳥園へやってきたのであった。

いざヘビクイワシが登場すると、感情が高まってしまった。
結果として、写真も動画も半端なものばかりに。
(参考までに私の好きなブログさんのURLをこちらに貼っておきますね!)
  
このヘビクイワシは「キック」くんという名前がついている。
アフリカオオコノハズクと同様に、色々なテレビに出演経験ある花鳥園の顔。
何年も前からショーをしているようで、トレーナーさん曰く
「キックくんはヘビが作り物だということを覚えてしまい、だんだんとキックが甘くなっていった」
とのこと。
ヘビを倒すためというより、エサをもらうための芸としてキックすることにかわっているのかな。とはいえショーというものは基本的にそういうものですし、観客として楽しむ分には問題ない。

この日、キックくんは気分がのらないのか、あまり空腹でないのか……ショーが始まったにもかかわらず、なかなかキックをしなかった。
それどころか、トレーナーさんと観客を背にして檻まで歩いて戻っていかれてしまった。
こういう気まぐれな出来事が起こるのも動物ショーの面白いところ。
トレーナーさんが檻まで説得にいき、その甲斐あって3分後くらいにショーが再会。
キックくんが最初に登場してから、1発目のキックまで実に5分はジラされてしまった。
だからこそ、そのあと竜巻のように連続蹴りを披露してくれたときの感動はひとしおだ。
 
(近年、鳥類に関しても塩基配列を用いた分類に切り替わりつつあります。今後、動物園などで見かける解説ボードに変更される可能性も多いにあります)


 
・記念撮影前の準備中ペンギン
 
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この他にもペンギンを膝に乗せて記念撮影、ファラオワシミミズクを腕に乗せて記念撮影。
などなどしているうちに15時からの屋内バードショーが。
 
 
 
猛禽類が並んで展示しているところの前が屋内バードショーの『わくわくイベント広場』。
さて、ここに展示されている猛禽類の一種に、膨らんだり細くなったりすることで有名なアフリカオオコノハズクがいる。
彼は基本的に通常状態だが、ショーの終了後に鳥たちが所定の位置に戻るとき、ラナーハヤブサが
目の前を通った瞬間――シュっと細くなった。
そしてハヤブサを見送る『ポポ』ちゃん……
 
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アフリカオオコノハズクが細くなるところを生で見られた喜びは大きい。が、細くなったのは2匹中1匹だけ。なぜなら、1匹は寝ていたからだ。これも花鳥園ならではの光景ではなかろうか。

ショーも終わってブラブラしていると、気がつけば閉園間際。あっという間でした。
 
 
お土産は、ミルク味こまんじゅう。
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1つ1つに違う鳥のイラストが描かれている、花鳥園ならではのお土産。
全部お見せしてしまうとご自分で買ったときの楽しみが減ってしまうので、一部だけ写真を公開。



・おまけ2
園内で見かけたゴミ箱
 
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・おまけ3
ベンガルワシミミズクのトコちゃん。歩きます。




 
 
次回は秋にでも行きたいな~~
 
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掛川花鳥園 ~その1~ [動物園・水族館]

「一番好きな食べ物はなんですか?」
と質問されると、返答に困ってしまう。
よく食べるものはいくつか思い浮かぶけれど。

「一番好きな映画はなんですか?」
と質問されても、なんとも言い難い。
最低でも500本は観てきているだろうが、一番というのはなかな決められない。

「一番好きな鳥はなんですか?」
これなら、こう答えよう。
「ヘビクイワシです」と。


口にしたことがある食べ物や料理の種類に比べれば、
私の知っている鳥類の種類はたかが知れている。
それでも一番を尋ねられて、即座に特定の種を言うというには思いの外に難しい。にも関わらず、ヘビクイワシの名前はパっとでてくるから不思議である。

彼らの魅力は、私に行動を起こさせるには十分すぎるほどであった。
自家用車のない私は、ある車の助手席に乗りナビゲートをしながら高速道路や一般道を進み――辿り着いたのは、静岡県の掛川市。
ここに日本で唯一ヘビクイワシのショーがみられる施設、『掛川花鳥園』がある。
 
  
 
ヘビクイワシはアフリカにしか生息していないが、日本の動物園でも何カ所かで展示している。
ヘビクイワシに限ったことではないが、鳥類や霊長類などは黒い檻に入っていることが多い。
好きな鳥ならば檻のないところで見たい、ショーがあるのなら見てみたい。常日頃から思っていた。
この春やっと赴くことができたので、レポートというより感動を書き記したい。
(自動車を出してくれ、静岡県まで乗せてくれ、なおかつ共に掛川花鳥園を堪能してくれた同行者に感謝しております)



前振りが長くなってしまったが、2013年の春に初めて掛川花鳥園へ行って参りました。
本題は少し後にして、他の鳥や施設に関してのお話を少々。

駐車場に到着してまず驚いたことが一つ。
出入口のある建物は日本家屋なのだ。
 
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入ってみると左右に広がるはフクロウの数々。
係員さんの話によると、掛川花鳥園は日本で鳥類の種類が二番目に多く、フクロウに関しては最も種類の多いとのこと。

いわずもがなだるが花鳥園は一般的な動物園ではない。
鳥(と花)に的を絞っているのが特徴。
日本家屋を抜けると、次の建物との間、一瞬だけ屋外にでる。
右手の池には様々なカモ、左手の池にはケープペンギンたちが放し飼いとなっている。
カモは平気で通路を横断するが、ペンギンたちにも触れるほど近い。
ヒトとペンギンの間をガラスや柵で隔てていない施設というのは、実に珍しい。
 
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ここで一つ疑問が浮かんだ。
右手のカモ池と左手のペンギン池の中央には通路があるだけ。
その気になればカモもペンギンも、どちらにも往来できるわけだ。
しかし、しっかりとした棲み分けができている。
人間には見えない境界線が存在しているように思えた。なぜだろうか。
その理由を……残念ながら、飼育員さんなどに質問するのを忘れてしまった。
淡水と海水に分けているのだろうか。

カモとペンギンに見送られると、憩いの場ともいえる花々に囲まれた休憩コーナーがある。
ここを中央とし、右には面積の広いバードケージがあり、左には屋外展示となっている。
この日は日光が眩しいほど陽気であったが、屋外よりも温かいバードケージから先に。
 
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掛川花鳥園のバードケージは、縦に長い。
小鳥たちが群れを成して飛翔する光景が見られるほどに。
色鮮やかなコガネメキシコインコたちが横になって飛ぶ姿は、あたかも南国を訪れた気分になる。
諸注意をすると、彼らは平気で耳の横をパタパタとつっきっていくので気を抜いていると驚かされてしまいます。

さて、コガネメキシコインコはペットとして飼われることもあり、人間に懐きやすい。
子供達の手に乗っているのを見かけたので、私もさっそく真似してみる。
木箱の上で休んでいる一匹に手をさしのべてみたものの、指先を見つめられてしまった。なかなか乗ってくれない。
近くにエサが打っていたので試しに購入して誘導作戦をしようか迷っていと、目を果たした隙に彼は移動してくれた。手のりインコ完成である。
同行者に「見てみて~」と行こうとしたところ、耳元に羽音と、肩に確かな重みが。しかも2回。
そして――下の写真のように。
 
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(後ろにいるカップルさんたちが主役のような写真になってしまった……) 
 
係員さんが「一生に一度あるかないかですよ~」と、ほがらかな微笑
レアな体験をしたという幸運は、花鳥園に着いて早々に「来てよかった」という気持ちにさせるほど力を持っていた。
うん、感じの良い係員さんだ。それとも飼育員さんだろうか。 

(コガネメキシコインコに限らず、動物園や水族館にいる多くの生き物は財力さえあれば正規のルートにて個人で購入することができる。ミーアキャットやプレーリードッグ、鳥ではハクチョウの一種など大型のペットショップで売られているのを見たことある方も多いだろう。TVのCMなどで「宝クジ当たったからキリンかっちゃったよ~」というのがあったが、動物商を介せば不可能ではないということである)
 
・アケボノインコ
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さて、こちらのバードケージには地に足をつけている鳥も多い。
オウギバトやクジャクといった丸っこいものからフラミンゴに至るまで、柵を挟まずに目の前にいる。正直にいえば、撫でられる。
だが実際に触れてしまうと、係員さんではなく鳥に怒られてしまうかもしれないので、色々と注意すべきであろう。
 
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有名な鳥ばかりの紹介になっているが、このまま有名どころを続けていきたい。
屋外へ移動すると、奥の方に『エミュー牧場』が見える。
「地上にいる大きい鳥は?」と問いかけると、ダチョウが真っ先に思い浮かぶ方が多いだろう。
だが、エミューというのもなかなか……デカい。
ちょっと写真を見てもらいたい。
 
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靴を履いているのもあり、私の体高は180㎝と見積もってもらおう。
だが、首を伸ばしたエミューは私よりも高い。
エミュー牧場は15~20匹くらいいたはずなので、エサ(100円)を持って柵をくぐると、囲まれることになる。エミューを堪能できる。
 
 
 
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他の多くのお客さんは外から見守っているのだが、せっかくなのに勿体ない。
エミューは、ダチョウやヒクイドリに比べて気性がおとなしい。
それに、この子たちのクチバシに指を挟まれてもハクチョウに比べて痛くない。ましてやハトほど鋭利でもないので、チクっとする感じもない。とはいえ大きいクチバシなので、くすぐったいという感覚にもならず、全く痛みがしないわけでもなく――
例えるなら、まずマジックハンドの先にアヒルのクチバシを模して作られたオモチャがあるが、それを思い浮かべていただきたい。その先端を少し丸くしたものでありながら、同時にパワーを強化したものであろうか。もう一度あのエミューの群れに突貫して確認したい。

同行者から「エミューに囲まれてるのに凄く楽しそうな顔してるね」と言われた私は「こっちに来なよ」と誘った。
ところが「無理! コイツら鳥っていうか恐竜だよ!!」と言われた。
恐竜好きの私からすれば、実に素晴らしい返答を頂いた。


エミューに限らず、各所でエサが売っている。
もちろん鳥によって食するものが違うので、エサも様々だ。
均一に100円として販売しているので、原価によるものか種類によって量も違っている。
エミュー用にはキャットフードのような固形物が20個くらい、ペリカンには魚が2匹。

基本的に動物との〝ふれあい〟というのは、ヒトから歩み寄るものだ。
しかしエサを持ったときから、花鳥園では立場が変わる。
例えばエミュー牧場の近くにある、大きな池でのことだ。
エサを持った瞬間、目ざとく気がついたカモが短い足でトテトテやってきた。
ひとたびエサやりを開始したら、遠くで浮かんでいたカモたちが陸上し、一気に囲まれてしまった。
「よこせ!」と言わんばかりに、靴を突っつかれる。
それがまた楽しくなって――
この日、私はエサだけで1000円以上は使ってしまった。
何故か肩の一部までも汚れている。エミューに囲まれているときに服を挟まれたかな。

 
   
(近くの草を食べていたサカツラガンさんに、手渡しを挑戦)
 
 
さて、屋外にはエミュー牧場と大きな池の他に、バードショーのスペースがある。
待ちかねたヘビクイワシのショーについては、また次回。


進化の狭間を探る、『沼津港深海水族館』 [動物園・水族館]

2013年4月2日、静岡県沼津市にある沼津港深海魚水族館へ訪問。
2011年12月10日に開館したばかりで、まだ1年半も経過していない新しい水族館だ。
「深海魚」というテーマを絞った水族館というのも珍しいが、
それ以上に世界で唯一の目玉展示がある――


さて、沼津港市場の一角に深海魚水族館は建てられている。
水族館のすぐ目の前は海であり、この駿河湾が深海魚の宝庫ということ。
館内には駿河湾で捕れた魚介類から、世界の深海魚まで様々な展示がある。
本当に一部だけであるが、気になったものをいくつか紹介していきたい。


まずは入口を潜ってすぐのところ。
小学生の間で人気が急上昇中の『ダイオウグソクムシ』。
 
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さて、私が撮影したこの1匹。なにやらひっくり返っている。
この個体は常にひっくり返っているのか、足もピクピクしているので一種の危険信号なのか、このあとどうなるのか、続報が気になって仕方がない。
三重県にある鳥羽水族館では1500日以上も絶食しているダイオウグソクムシもいるので、いったい彼らはどこまでが生きられるラインなのだろうか。


続いて『オウムガイ』。
 
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古生物の話などで「絶滅したアンモナイトに似た生き物」として引き合いにだされることの多い生物だ。
アンモナイトとアンモナイトの殻が並べて展示してあるのを見たことある人は多いだろう。
しかし意外と生きたままのオウムガイを見たことある人は多くはない。
沼津港深海魚水族館に限らず、施設の規模に限らず、世界中の様々な水族館で展示されているものの注目を浴びることは少ない。ただ館内の片隅に漂っているだけ、なんてこともある。
なので水族館へ赴く機会があったら、アンモナイトのことを頭の片隅に置きながら、是非ともオウムガイを探し出して欲しい。



名前で勘違いされやすい『ヌタウナギ』。
 
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以前はメクラウナギと呼ばれていたが、諸事情により名称変更されている。
どちらの名称にしろ、彼らはウナギ型をしているだけでウナギではない。近縁でもない。
ヌタウナギとヤツメウナギという2種は、脊椎動物のなかでも指折りに原始的なのだ。
無顎類(無顎口上網)という言葉を聞いたことあるであろうか? 文字通り、顎がない。
魚にしても鳥にしてもトカゲにしてもヒトにしても、口というのは上下の顎で形成されている。ところがヌタウナギは、例えるならば円形に近い口をしている。ヤツメウナギの口はより顕著だ。
顎の発生の歴史として、数億年前に無顎類の口の後ろにある骨が向きをかえ、いずれ顎になったのないのではないかという説が有力とされている。しかし今も生き残っている無顎類は紹介した2種類だけ。
進化の流れをみるとヌタウナギは重要ではあるが、ヌタウナギは珍しい生物というわけではない。食用にもされている。
しかし沼津港深海魚水族館には、アルビノが展示されている。実に珍しい。
アルビノの魚介類が見つかる水族館などへ持ち込まれることは多いが、白ヌタウナギは初めて見た。
(お顔も拝見してみたかったが、ずっと丸くなったままであった…… )
 

さて沼津港深海魚水族館は展示室が2階に別れている。
1階は種々様々な魚介類の展示があるが、2階は1種類をメインにして構成されている。
階段をあがると出迎えてくれるのは、目玉の『シーラカンス』。
 
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入ってすぐに剥製が2匹。
奥へ進むと保存状態のよい剥製が1匹。
そして世界で唯一の目玉展示、冷凍シーラカンス。しかも2匹。
照明によるものもあるだろうが、青々とした大きな体に白の斑点、鰭(ひれ)の多さ、どこを見てもシーラカンスそのものである。

冷凍シーラカンスを間近で眺めると、真っ先に胸鰭に視線が行った。
肉鰭類(肉鰭網)らしい肉のついた分厚いさ、地上も歩けるかと見紛う力強い上腕。
他の魚類では見ることのできない、一種の「可能性」を秘めているのではと感じてしまう。

また、鰭の数そのものも多い。
保存状態の良い剥製を間近で観察するとわかりやすいが、その数なんと10基。
シーラカンスを初見で異形さを感じる人がいるが、筋肉のついた鰭とその数が大きな要因ではなかろうか。

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また外観からは分かりづらいが、背骨などを筆頭に硬い骨ではなく軟骨でできている。
首から尾まで一本の大きな軟骨の脊椎でできている。いや、脊椎というより脊柱と表現すべきか。その上、内臓を守る肋骨もない。代わりに立派な鱗などを持っているとも考えられている。

さて、このシーラカンスだが、もちろん絶滅種ではなく現生種の剥製や冷凍保存である。
そして展示されているシーラカンスの学名は「シーラカンス」ではない。
シーラカンス科ラティメリア属、と言ってもピンとこない人もいるだろう。

例え話をしよう。
仮に今この地球はネコ科の生物が絶滅ている……と考えられていて、しかし1種だけ見つかった。
それを新たに「チーター」と名付けた。しかし他に生き残っているネコ科の生物はいないので、人々は彼らを「ネコ」と呼ぶ。
この気持ち、わからないでもない。ましてやチーターと名付けられる前に「ネコの仲間だ!」と言われていては、ネコと名付けられていたら定着してしまうかもしれない。
なので色々な場面において現生しているシーラカンスを指すときは『ラティメリア』と口にすることが多い。


最後に魚介類ではなく哺乳類を1種。単孔類の『ハリモグラ』。
 
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単孔類(カモノハシ目)というのは卵を産む哺乳類として有名であるが、爬虫類や鳥類と同じく総排出腔をもつので単孔類と呼ばれている。排泄や生殖も、すべて共通の腔部で行われている。
獣弓類から哺乳類へ進化した中で、多くの面影を残す生物だ。



ヌタウナギ、オウムガイ、シーラカンス、ハリモグラ。
チョイスした動物たちからも分かるとおり『進化の狭間』というのをテーマに深海魚水族館を紹介してみた。 
主に進化の多くのところで「原始的な生物」と表現されている生き物たちだ。
だからといって彼らが今後、大きく姿を変えるようなことを目撃する機会はない。
今の姿が最適――とはいうわけではないが、人類より遙か昔から姿を変えずにいる生物たちが今になって大きな圧力もなしに急変することはないだろう。
ただ彼らを見ているだけで、「かわらない力」というものを感じずにはいられないのだ。




巳年と、上野動物園ヘビ展と [動物園・水族館]

あけましておめでとうございます。
お正月もおわり、みなさまは良い一年の始まりになりましたでしょうか?

当ブログは昨年末にオープンしましたが、今年がスタートの1年だと思っております。
「今年もよろしくお願い致します」ではなく、
「これからよろしくお願い致します」という気持ちを込めて、
新年の挨拶とさせていただきます。



さて、みなさま今年はヘビ年でございます。
十二支のなかで唯一の爬虫類ですね。
系統学では鳥類を爬虫類と分類することもあったり、
空想上の生物である龍も爬虫類の可能性もあったりしますが、
あくまで爬虫類代表でヘビが選ばれているということにしておきましょう。

爬虫類代表とはいえ、ワニやカメどころか恐竜よりも1億年以上も遅く誕生したヘビたち。
陸上や地中のヘビが先なのか、海ヘビが先なのか、まだまだ研究の尽きない生き物です。

20年くらい前は、なにげなく道路や街中でも見られた彼らですが、今では目にする機会が減りました。
知っているようで知らない、ヘビのこと。
「好きなヘビはなんですか?」
と聞かれると、なかなか答えるのは難しいところ。
ニシキヘビやマムシやコブラくらいしか名前が浮かばない、なんてこともあるでしょう。
そして苦手とする方も多いはず。
しかし動物園などへ行くと、
「この子かわいい!」
という反応する方は、案外いるかもしれません。
模様だけでなく、意外と顔もボディラインにも差があるものです。

ちなみに私は、テングキノボリヘビが一押しです(画像参照)
この子は恩賜上野動物園の両生爬虫類館(ビバリウム)にも展示されています。
木の枝くらいほっそりしている上に口先がとがっているので、惚れる人は多いはず。
 
 
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ではこの上野動物園に、以前は巨大なアミメニシキヘビを飼育していたのをご存じでしょうか?
その皮が今、『ヘビ干支展』で展示されております。
皮の長さはなんと7.9メートル。
仮に高さに例えるなら、マンションの3~4階の境目くらい。
赤ちゃんどころか、子供を丸呑みにされても、まったく不思議ではない巨大さ。
体重も100kgはあったことでしょう。
 
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さて、『ヘビ干支展』はそれだけでなく、ガラガラヘビの全身骨格も展示してあります。
または両生爬虫類館では『ビバリウムのしごと 飼育係の7つのおはなし』というボードの展示もしてあります。

全国の色々な動物園でヘビにまつわる企画展が行われています。
ヘビ年に限ったことではないですが、1月は干支に関する小さな企画が多いものです。
身近とはいえない存在になってきたヘビを、改めて知るには機会はいいかもしれません。

動物園は春や秋がポカポカして気持ちよく見られるものですが、
外気が冷える正月明けの動物園というのも、いつもと違った姿が見られますよ。
冬こそ元気な白い動物たちに、軽い気持ちで会いにいくのもオススメです。
――というよりも、珍しく早起きした昨日、一念発起で動物園へ行った私の経験則です。



最後になりますが、本年が皆様にとって幸多き年となりますようお祈り申し上げます。

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